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勝手な事書いてます。

映画レビュー:ミニマリズム:大事なことについてのドキュメンタリー 『Minimalism: Documentary about Important things』

 


Minimalism: A Documentary About the Important Things (Official Trailer)

Minimalism を直訳するとMinimum=最低限、最小限、ism=主義、説というところで、必要最小限主義とでもいうのでしょうか。本編は、Minimalismという本を書いた二人のアメリカ人著者のブックツアーをメインとして追いながら、彼らの過去やミニマリズムに関わる専門家、著名人などの話を交えながらアメリカの消費主義とミニマリズムとは何かについて探っていく作品です。アメリカベースなので、全ての内容が日本とは同感できるわけじゃないのですが、同じ先進国、資本主義国として根本的な部分は、共通している気がしました。本編は、ただモノが溢れたこの時代に一度立ち止まって一人ひとりが自分に本当に大事なモノは何かを少しでも考え直す機会になればいいなくらいのドキュメンタリーです。

 

日本でも断捨離の本や整理整頓に関する書物は沢山出ているので全く新しいアイディアではないですが、それでも自分なりに本編の着眼点や事実について面白いなと思う点が何点かあったので紹介したいと思います。

 

ここから、ネタバレ入ります。

 

ブラックフライデー

 

予告編でも見れますが、ブラックフライデーセールの混み合いが半端ないです。深夜開店前から並んで、ダッシュで駆け込み、この世の終わりかってほど本能剥き出しにして皆さんテレビなりゲームなり奪い合ってます。英語ウィキのBlack Fridayの記載を読むと過去にけが人や死者まで出てました。人混みの中にいると頭痛になるタイプの自分はこの動画見てるだけで何だか血の気が引いてきます。本編では、この物質欲はどこからどう生まれて我々に将来的にどのような結末をもたらすのかをあまり深くではないですが、垣間見れるくらいに説明しています。

 

②プロジェクト333

 

作品内には、色々な形でミニマリズムを実行している方の話を聞き回っています。手荷物バッグに最低限必要な物だけ詰めて世界を旅する方や、お金も地位もあったWall Streetでの金融ブローカーのキャリアを捨てて自分の歩みたい道を選んだ方など。スケールが大きすぎて自分にはできないなあと他人目線で見ていた中で、できるかも?と思った物がプロジェクト333です。自分も一女性として、クローゼットの中の洋服が旦那の3倍は確実にあります(笑)。発案者のCourtney Carverさんが実際自分で行ったプロジェクトで、次の3ヶ月間に着るお洋服(トップ、ボトムス、アクセサリー、バッグ、靴など)を33個で着回そうというプロジェクトです。Courtneyさん自体、マーケティング部かどこかの社員でファッションには気を使う方だとのことですが、3ヶ月間、誰もCourtneyさんが同じ服を着回していることに気が付かなかったそうです。使わない服に関しては捨てるのではなく寄付することを進めてます。

 

プロジェクト333サイト:

bemorewithless.com

 

③子供向けマーケティング

 

本編の専門家さんによると、子供向けの広告は昔は子供の母親に向けて発信されていたのですが、いつしか企業や会社は子供に直接向けられるようになったそうです。また、今やネットやSNSを通じてその情報量と情報源も昔と比べ物にならないくらい多く、これが子供にどういう影響を及ぼすのかちょっと考えただけでも胸が痛くなります。下記のような数字を突き出されるとなんとも人類の未来は本当に大丈夫かなあと思います。

 

“In 1983, Companies spent 100 million marketing to children. In 2006, Companies spent 17 billion”

1983年に会社が子供向けに費やしたマーケティング費用は1億ドルであった。2006年時には、これが170億ドルとなった。

 

ジミー・カーター 元大統領の “Crisis of Confidence” スピーチ

 

1979年にテレビで放送されたJimmy Carter元大統領の “Crisis of Confidence”-『信頼の危機』スピーチの一部がが流れる場面があるのですが、ごもっともだと思ったのでそのまま翻訳してみます。

 

”In a nation that was proud of hard work, strong families, close-knit communities, and our faith in God, too many of us now tend to worship self-indulgence and consumption. Human identity is no longer defined by what one does, but by what one owns. But we’ve discovered that owning things and consuming things does not satisfy our longing for meaning. We’ve learned that piling up material goods cannot fill the emptiness of lives which have no confidence or purpose.”

 

努力、強い家族の絆、固い結びつきで構築された社会、神への信仰を誇りとするこの国家で、今あまりにも多くの人が自身の欲望と消費の崇拝に向かっている。

人の良し悪しは、もはやその人の行いによって判断されず、彼・彼女の所有物によって定義されつつある。しかし、私たちは物を所有することや消費することが私たちの生きる意義を満たすことがないことを知っています。私たちは、埋もれるほどの物を持っていても自信と目的のない心の空白を埋めることができないことを学んできました。

 

難しい。汗。ちゃんと翻訳できているか分かりませんが、今の私の力量だとこんなところです。私が思うのは、このスピーチは約40年前に放送された物で、消費主義とは40年前(もっと前からだと思いますが)から定義・懸念され、様々な場面で問題だと声を上げられて来たにも関わらず、今、私たちの消費は40年前よりも目まぐるしく増えていて、時代の流れなのか、権力者の陰謀なのか、企業の欲望なのか、ただ単に人間の欲としてそういうものなのか、根本的な原因すら分からないまま、ただこのまま進んでくいくと取り返しのつかない事になることだけは確かな気がしました。

 

⑤Love people, Use things. Not the opposite.

 

本編の最後のメッセージです。『人を愛して、物を使え。物を愛して、人を使うな。』

とても簡単で当たり前の様な気もしますが、友達といるのにスマホばかり見ている人やお金やブランド品ばかり追いかける人が減らない世の中で、一歩引き下がって今の自分を振り返るにはいい言葉だと思いました。

 

また、人生色んなフェーズがあると思うんですが、年老いてから自分は物に囲まれた最期を迎えたいのか、それとも人に囲まれた最期を迎えたいのかを考えたとき、それを実現するには今誰に対してどんな行動をとるべきなのかおのずと分かってくるような気がします。言うは易しですけどね。笑。


#Minimalism